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「昨日筋トレしたら、今日になって脚が痛い」
「筋肉痛を早く治す方法はないの?」
「筋肉痛があるけど、今日もトレーニングしていい?」
「歳を取ると筋肉痛が2日後に来るって本当?」
筋肉痛は、多くの人が一度は経験したことのある身近な症状です。
ところが、その仕組みについては今でも「乳酸が溜まっている」「筋肉が細かく切れて炎症を起こしている」と説明されることがあります。
乳酸が翌日の筋肉痛を起こすという説明は現在では支持されていません。そして「筋線維の微細損傷=筋肉痛」という説明も、完全な間違いではないものの、それだけでは現在の研究を十分に説明できなくなっています。
こんにちは。愛知県東海市のARK接骨院、代表の古田です。
今回は筋肉痛(DOMS)の原因、なぜ翌日になって痛むのか、早く治す方法、筋肉痛がある時に運動してよいのかまで、2026年時点の研究をもとに整理していきます。
そして途中で、私が昔から使っている「筋肉痛は上書き保存!!」と、もう一つかなり極端な持論も出てきます。
運動した数時間後から翌日、翌々日にかけて現れる筋肉痛は、一般に遅発性筋肉痛(DOMS:Delayed-Onset Muscle Soreness)と呼ばれます。

現在の知見を一般向けにできるだけ簡単にまとめると、DOMSは慣れていない運動や強い運動によって筋肉やその周囲の組織へ機械的なストレスが加わり、その後の炎症・神経化学的な反応によって痛みを感じる神経が敏感になり、時間差で痛みや圧痛、こわばりなどが現れる現象と考えると分かりやすいでしょう。
筋線維に微細な損傷が起こることもあります。しかし、「筋肉がたくさん壊れたから、たくさん痛い」というほど単純ではありません。
DOMSは、特に伸張性収縮(エキセントリック収縮)を多く含む運動で起こりやすいことが知られています。
こうした運動の後には、筋線維や細胞骨格、筋周囲の組織などに変化が起こることがあります。
そのため「運動によって筋線維へ微細な損傷が生じる」という従来の説明そのものが完全に間違っているわけではありません。
ただし、研究では筋肉痛の強さと筋損傷を示す指標が必ずしも一致しません。損傷が大きければ必ず強く痛むわけでもなければ、明らかな筋線維損傷が目立たない条件でもDOMSのような痛覚過敏が起こることがあります。
そこで現在のDOMS研究で重要になっているのが、侵害受容器の感作です。
簡単にいえば、運動による刺激のあとに身体の中でさまざまな反応が起こり、痛みを感じるセンサーの感度が徐々に高くなっていくということです。
研究ではブラジキニン、NGF、COX-2/PGE2、GDNFなど複数の神経化学的な経路が研究されています。ただし、人のDOMSを一つの物質だけで完全に説明できる段階ではありません。

また、筋肉そのものだけでなく、周囲の結合組織や深筋膜などが運動後の痛みに関係している可能性もあります。
ただし、ここから「筋肉痛の本当の原因は筋膜だった」とまで言い切ることもできません。
「運動すると乳酸が筋肉に溜まる。その乳酸が翌日の筋肉痛になる」
昔はこのように説明されることがありましたが、古典的な乳酸蓄積説は現在では支持されていません。

乳酸は運動中から運動直後の代謝に関係する一方、DOMSは運動して数時間経ってから現れ、翌日から翌々日に強くなることがあります。
時間経過が一致しないのです。
そのため、「翌日まで乳酸が残っているから痛い」「血流を良くして乳酸を流せば筋肉痛が治る」という説明は、現在のDOMSの考え方とは合いません。
DOMSという名前の通り、特徴の一つが痛みが遅れて現れることです。
運動した瞬間についた傷の痛みが、翌日になってようやく脳へ届いているわけではありません。
現在有力なのは、運動をきっかけとして始まった炎症反応や神経化学的なシグナルが数時間かけて進行し、痛みを感じる神経が徐々に敏感になることで時間差が生まれるという考え方です。
DOMSは一般に運動後数時間から目立ち始め、24~72時間程度で強く感じることがあります。ただし個人差や運動内容によって経過は変わります。
典型的なDOMSであれば、数日かけて徐々に軽くなっていくことが一般的です。
反対に、日を追うごとに痛みが強くなる、長期間改善しない、一点だけ非常に強く痛む、腫れや皮下出血があるといった場合には、単なる筋肉痛以外の可能性も考える必要があります。
これも本当によく聞く話です。
しかし、「年齢が高くなるほど筋肉痛が遅れて出る」とする確かな科学的根拠はありません。
年齢そのものよりも、普段どれだけ運動しているのか、その運動に慣れているのか、今回どれだけ負荷を増やしたのか、普段行わない動きをしたのかといった違いが影響します。
もちろん加齢によって筋肉の回復や再生に関わる身体の仕組みが変化することと、「筋肉痛だけが2日遅れてやってくる」という話は別です。
筋トレをして翌日ものすごい筋肉痛になると、「今日はかなり効いた」と感じる人も多いと思います。
でも、筋肉痛の強さを筋肥大や筋力向上の点数として使うことはできません。

久しぶりに筋トレをした時、初めて行う種目をした時、普段より大きな可動域で動いた時などはDOMSが強く出やすくなります。
一方、継続的にトレーニングして身体が刺激へ慣れてくると、同じ程度のトレーニングを行っても筋肉痛は小さくなることがあります。
それでも筋肥大や筋力向上は起こります。
筋肉痛は「トレーニング効果」そのものよりも、その刺激に身体がどれだけ慣れていなかったのかを反映している場合があります。
トレーニング効果を確認するなら、筋肉痛の強さだけではなく、重量、回数、総運動量、フォーム、動作の質、実際の競技パフォーマンスなどを見る方が合理的です。
私は昔から、筋肉痛についてこんな言い方をすることがあります。

筋肉痛は上書き保存!!
もちろん、筋肉痛の上からさらに激しくトレーニングして、前の筋肉痛を無理やり消せという意味ではありません。
これに近い現象として、運動生理学にはRepeated Bout Effect(反復運動効果)があります。
一度、慣れていない運動を経験したあと、後日同じような運動をすると、最初の時よりも筋肉痛、筋力低下、腫れなどが小さくなりやすいという現象です。
身体がその運動刺激を経験し、神経系、筋肉、腱、細胞骨格、結合組織など複数の部分で適応していくと考えられています。
つまり私の言う「上書き保存」は、より正確に言えば前の筋肉痛を消すのではなく、同じ刺激に身体が適応し、次回は同じ刺激に対する反応が小さくなるということです。
なので、科学的には「上書き保存」というより身体がその刺激を学習していると言った方が近いのかもしれません。
でも「Repeated Bout Effectですよ」と言われるより、私は筋肉痛は上書き保存!!の方が覚えやすいと思っています。
筋肉痛がある時に「今日はトレーニングしていいですか?」と聞かれることがあります。
これは「筋肉痛があるから絶対休む」「ただの筋肉痛だから無視して全力でやる」の二択ではありません。
私がスポーツ選手を見る時に大切にしているのは、症状より機能を見る。ただし症状も無視しない。という考え方です。
DOMSを起こすような強い運動のあとには、痛みだけではなく筋力、パワー、可動域などが一時的に低下することがあります。
軽い筋肉痛で、日常動作や筋力、可動域などがほぼ通常通りなら、軽い有酸素運動、技術練習、別部位のトレーニングなどを行える場合があります。
反対に、歩き方まで変わる、筋力が明らかに落ちている、動作が大きく崩れているような状態で、同じ筋群へ高負荷の運動や全力スプリントを繰り返す必要はありません。
ここからは、さらに極端な私の持論です。
もちろん医学的な検査ではありません。
でも選手の「痛い」を考える時、私は極端な例としてこんなことを言うことがあります。
「今、刃物持ったおっさんに後ろから追っかけられたらどうする?」
「走って逃げます」
「その脚で逃げれる?捕まる?」
「逃げれます」
「逃げれる?なら大丈夫だ!」
……という話です。

もちろん、本当にこれだけで「怪我ではない」「試合に出ても安全」と判断しているわけではありません。
この極端な例えで言いたいのは、「痛みが何点なのか」だけではなく、「その身体で実際に何ができるのか」を見ようということです。
例えば「痛み7/10です」と言いながら普段とほぼ同じ速度で走り、ジャンプや着地、方向転換までできる人もいれば、「痛み3/10です」と言いながら歩き方が大きく崩れている人もいます。
数字だけを見れば前者の方が痛そうですが、身体機能を考えれば話はそれほど単純ではありません。
そして、一度走って逃げられることと、90分間走る、全力スプリントを繰り返す、急停止する、切り返す、接触を受けるといった競技動作ができることも別です。
なので最後は、競技に必要な機能まで段階的に確認します。
「筋肉痛を早く治す方法」と検索すると、ストレッチ、マッサージ、アイシング、入浴、サプリメントなど本当にさまざまな方法が出てきます。
ここで一つ覚えておいてほしいことがあります。
「痛みが楽になること」と「組織の回復そのものが劇的に早くなること」は同じではありません。
| 回復方法 | 現在の考え方 |
|---|---|
| マッサージ | DOMSや疲労感の軽減では比較的支持されている |
| 軽い運動 | 一時的に楽になる可能性がある |
| フォームローラー | 痛みや可動域に小さな改善が期待できる |
| 温浴・温熱 | 痛みを軽減する可能性がある |
| 冷却・冷水浴 | 短期的な症状軽減に使える場合がある |
| ストレッチ | DOMS予防効果はかなり小さい |
| 着圧ウェア | 小さな回復効果が期待できる場合がある |
| 睡眠・食事 | 身体の回復全体を支える土台 |
さまざまな回復法を比較した研究では、マッサージはDOMSや主観的な疲労感を軽減する方法として比較的支持されています。
ただし、マッサージを受けて「楽になった」と感じても、筋力やパワーまで完全に回復したとは限りません。
「老廃物を全部流す」「揉めば筋肉の傷が治る」というものではなく、痛みやこわばり、回復感を改善するための方法として考えるのがよいでしょう。
ウォーキングや軽い自転車などをすると「動いた方が楽になった」と感じる人もいます。
軽い運動によってDOMSが一時的に軽く感じる可能性はありますが、「血流で乳酸や痛み物質を洗い流すから筋肉が早く修復する」という説明ではありません。
軽度のDOMSで身体機能に大きな問題がなければ、無理のない範囲で身体を動かすという選択肢はあります。
フォームローラーは、DOMSの痛みや可動域を多少改善する可能性があります。
ただし効果は大きなものではなく、筋膜の癒着を物理的に「剥がしている」「壊している」とまで考える必要はありません。
本人が心地よく使用でき、動きやすくなるのであれば補助的な方法として利用してよいでしょう。筋膜リリースそのものについては、筋膜リリースについて詳しく解説した記事も参考にしてください。
意外かもしれませんが、運動後にストレッチをしたからといってDOMSを明確に予防できるわけではありません。
運動前後のストレッチによる筋肉痛低下は非常に小さく、DOMS予防の中心として考えるほどの効果は確認されていません。
筋肉痛がある時に、気持ちよい範囲で軽く伸ばして一時的に楽になることと、筋肉痛そのものを予防することは分けて考えましょう。
冷却や冷水浴によって、運動後のDOMSが短期的に軽くなる可能性があります。
ただし、「炎症を止めれば筋肉痛を完全に予防できる」というものではありません。
また、筋肥大を目的としたトレーニングの直後に冷水浴を毎回のように長期間行うと、筋肥大への適応を弱める可能性が指摘されています。
例えば「明日も試合なので少しでも痛みや疲労感を減らしたい選手」と「数か月かけて筋肥大を最大化したい人」では、冷却を使う目的が違います。
一方、温浴や温熱にもDOMSの痛みを軽減する可能性があります。
冷やす・温めるのどちらか一方が常に正解というより、目的や身体の状態に応じて考えましょう。
着圧ウェアや着圧ソックスも、DOMSや主観的な回復感を多少改善する可能性があります。
ただし圧力や着用時間、対象となる競技など研究条件にはかなり差があり、着るだけで翌日完全に回復するようなものではありません。
自分に合うのであれば、回復を補助する一つの手段として利用するくらいでよいでしょう。
特殊な回復グッズやサプリメントを探す前に、まず見直したいのが睡眠と普段の食事です。
十分な睡眠は身体の回復やスポーツパフォーマンスを支える基本です。ただし「何時間寝れば筋肉痛が何%減る」というほど単純なものではなく、必要な睡眠時間には個人差があります。
食事では、十分な総エネルギーを確保し、タンパク質だけでなく糖質なども含めて次の運動へ備えることが重要です。
タンパク質は筋タンパク質合成やトレーニングへの適応に重要ですが、プロテインを飲めばDOMSが消えるというものではありません。
BCAAについては、DOMSの軽減を示した研究もあります。そのため「全く意味がない」と言い切る必要もありません。
ただし、十分な食事や総タンパク質を摂れている人にとって、筋肉痛を防ぐためにBCAAが必須というわけでもありません。
鎮痛薬によって痛みが軽減することはあります。しかし、痛みが消えることと筋肉の回復そのものが速くなることは同じではありません。
DOMSを防ぐ目的で鎮痛薬を常用したり、薬で痛みだけを消してそのまま無理なトレーニングを続けることはおすすめできません。
必要な場合は、医師や薬剤師の指示に従って使用してください。
DOMSを完全に防ぐ方法はありません。
ストレッチ、アイシング、サプリメントなどより、まず大切なのは身体を段階的に負荷へ慣らすことです。
Repeated Bout Effectを考えても、身体に少しずつ刺激を経験させていくことは非常に合理的です。

また、単なる筋肉痛ではなく、同じ場所の痛みが何度も続く、練習量を減らしても症状が戻る、全身の疲労が抜けないという場合には、オーバーユース・オーバーワークについて解説した記事も参考にしてください。
スポーツ現場では、運動後に筋肉が痛いからといって、すべてを「筋肉痛ですね」で終わらせないことも重要です。
| DOMSでみられやすい特徴 | 肉離れを疑う材料 |
|---|---|
| 運動後数時間して徐々に痛む | 運動中に突然鋭い痛みが出た |
| 使用した筋肉に比較的広く痛む | 狭い範囲に強い圧痛がある |
| こわばりや伸張時痛 | 腫れや皮下出血がある |
| 数日かけて徐々に軽快する | 明らかな筋力低下や動作困難がある |
ただし、この表だけで完全に見分けられるわけではありません。
DOMSでも一時的な筋力低下は起こりますし、軽い肉離れでは運動直後より翌日になって痛みが目立つこともあります。
「運動中に痛んだ=肉離れ」「翌日痛んだ=筋肉痛」と時間だけで決めるのは危険です。

肉離れについて詳しくは、肉離れの症状や見分け方について解説した記事をご覧ください。
強い運動をした後の痛みで特に注意したいものの一つに、運動誘発性横紋筋融解症があります。
非常に強い運動などによって筋細胞が大きく障害され、筋細胞内の成分が血液中へ放出される状態です。
このような場合は「昨日筋トレしたから筋肉痛だろう」と自宅でストレッチをしながら様子を見るのではなく、医療機関での評価を優先してください。
また、非常に強い痛みと張り詰めるような腫れ、しびれや感覚異常などがある場合も、普通のDOMSとして扱わないことが重要です。
厚生労働省:運動誘発性横紋筋融解症↗
典型的なDOMSであれば、時間とともに徐々に症状が軽くなっていきます。
そのため、何日経ってもほとんど変わらない、むしろ悪化している、同じ一点だけが強く痛む、スポーツ動作がいつまでも戻らないといった場合には、最初の「筋肉痛だろう」という前提自体を見直す必要があります。
肉離れ、腱障害、骨のストレス障害など、別の問題が隠れている可能性もあります。
特にスポーツ選手の場合は「痛みが何点か」だけではなく、筋力、可動域、走行、ジャンプ、切り返しなど、その競技で必要な機能まで確認することが重要です。
DOMSを一瞬で治す方法はありません。マッサージ、軽い運動、温熱、冷却、フォームローラーなどによって症状が多少楽になる可能性はありますが、睡眠や食事を含めて身体が回復する時間も必要です。
一律に禁止する必要はありません。軽度の筋肉痛で筋力や可動域、動作がほぼ通常通りなら運動できる場合があります。一方、明らかな機能低下がある場合には、同じ筋群への高負荷トレーニングを避け、負荷を調整する方がよいでしょう。
筋肉痛の強さを筋肥大の指標として使うことはできません。筋肉痛がほとんどなくても、適切な負荷で継続的にトレーニングしていれば筋力向上や筋肥大は起こります。
「年齢が高いほど筋肉痛が遅れて現れる」とする確かな科学的根拠はありません。年齢だけではなく、普段の運動量、トレーニング歴、今回の運動強度、身体がその運動に慣れているかなどが影響します。
「乳酸が翌日まで筋肉に溜まってDOMSを起こす」という古典的な乳酸蓄積説は現在では支持されていません。DOMSでは、運動後に起こる神経化学的な反応と痛覚受容器の感作などが重要と考えられています。
冷却にも温熱にも痛みを軽減する可能性があります。どちらか一方が常に正解というわけではありません。試合間隔が短く短期的な回復感を優先するのか、長期的な筋肥大を重視するのかなど、目的によっても使い方は変わります。
典型的なDOMSは運動後数時間してから比較的広い範囲に痛みが出ることが多い一方、肉離れでは運動中の突然の局所痛、強い圧痛、腫れ、皮下出血などがみられる場合があります。ただし発症時刻だけでは判断できないため、強い症状や機能低下がある場合は評価が必要です。
筋肉痛(DOMS)は、単純に「乳酸が溜まった」「筋線維が壊れた」という一つの原因だけで説明できる現象ではありません。
私の「筋肉痛は上書き保存!!」という言い方も、文字通り痛い筋肉へさらに負荷をかければ治るという意味ではなく、身体には一度経験した刺激へ適応する仕組みがあるということです。
そして「刃物持ったおっさんに追っかけられた時に逃げれるか?」という極端な話も、本当に刃物を判断基準にしているわけではありません。
言いたいのは一つ。
痛みが何点かだけではなく、その身体で何ができるのかまで見る。
筋肉痛でもスポーツ障害でも、この考え方はARK接骨院で身体を見るうえで大切にしている部分です。
執筆者 柔道整復師 古田幸大
