【鵞足炎の教科書】読めばすぐわかる!

※この記事は約20分で読めます。

「ランニング中に膝の内側がズキズキ痛む」 「階段の上り下りで膝下の内側に違和感がある」「単純な動作のはずなのにスクワットすると膝が痛い」

もしこれらのような症状に悩まされているなら、それは「鵞足炎(がそくえん)」かもしれません。

鵞足炎は、腸脛靭帯炎(ランナー膝)と並んで、走る人に非常に多いスポーツ障害の一つです。しかし、放置して練習を続けると慢性化し、日常生活にも支障をきたす恐れがあります。

この記事では、鵞足炎の正体、なりやすい人の特徴、そして早期回復と予防のためのセルフケア方法を、6項に分け徹底的に解説します。

目次

「鵞足炎」とは?

鵞足炎を知るにはまず、なぜ「鵞足(ガチョウの足)」という不思議な名前がついているのでしょうか?

鵞足(がそく)の解剖学

膝の関節から脛骨(スネの骨)の内側上部にかけて、太ももの筋肉から伸びる3つの腱が集まって付着している部分があります。この3つの腱がまとまっている形が、後ろから見ると「ガチョウの足(水かき)」のように見えることから、「鵞足」と呼ばれています。

【鵞足を構成する3つの筋肉】

  1. 縫工筋(ほうこうきん): 太ももの前を斜めに走る筋肉。
  2. 薄筋(はっきん):内ももの筋肉。
  3. 半腱様筋(はんけんようきん):太ももの裏側(ハムストリングス)の筋肉。
鵞足のもとになったガチョウです。可愛いですね。

痛みのメカニズム

膝の曲げ伸ばし運動を繰り返すことで、これらの腱が骨や、腱同士、あるいは滑液包(クッションの役割をする袋)と擦れ合います。この摩擦が繰り返されることで炎症が起き、痛みが発生するのが鵞足炎です。

画像中央少し下の筋肉が3本集まっているのが鵞足です。

あなたは大丈夫?鵞足炎のセルフチェック

「膝の内側が痛いけれど、本当に鵞足炎なのかな?」と迷っている方は、以下の特徴に当てはまるかチェックしてみてください。

  • 痛む場所:膝蓋骨(膝のお皿の骨)から約2〜4cm下の内側
  • 圧痛:該当箇所を指で押すと激痛が走る。
  • 動作時痛:走り始めや、長距離を走った後半にズキズキと痛む。
  • 階段:特に階段を降りる時に痛みが強くなる。
  • その他:膝を完全に伸ばしきると痛い、または深く曲げると痛い。

これらに複数当てはまる場合、鵞足炎の可能性が高いといえます。

鵞足炎になりやすい人の特徴と原因

鵞足炎は「使いすぎ(オーバーユース)」が主な原因ですが、同じ距離を走っていてもなる人とならない人がいます。その違いはどこにあるのでしょうか。関節のアライメントや筋力の問題、フォームの問題と述べていきます。X脚(ニーイン・トゥーアウト)の人

これが最も大きな要因の一つです。 着地した際に、膝が内側に入り(ニーイン)、つま先が外を向く(トゥーアウト)癖がある人は要注意です。X脚気味の人は、常に膝の内側にある鵞足部分が引っ張られ、骨と強く擦れる状態になります。足首の柔軟性が低く着地が不安定でもトゥーアウト・ニーインは起こります。

ハムストリングスや内転筋が硬い人

鵞足を構成する筋肉(特にハムストリングスや内側)の柔軟性が低下していると、腱が弓の弦ように常にピンと張った状態になります。その状態で運動を繰り返せば、摩擦が強くなり炎症が起きやすくなります。

ランニングフォームの問題

  • ストライドが広すぎる:かかと着地の衝撃が大きく、膝への負担が増す。
  • 骨盤が後傾している:猫背気味で走ると、ハムストリングス(太ももの裏)に過度な緊張がかかる。

靴の選び方・劣化

  • 靴底のゴム(ソール)の外側ばかりがすり減っているシューズを履き続けている。
  • そもそもクッション性のない靴で硬いアスファルトを走っている。

競技特性

ランニングだけでなく、以下のスポーツでも多発します。

  • 平泳ぎ:水を蹴る動作( ウィップキック)が鵞足に負担をかけます。
  • 自転車競技:膝の曲げ伸ばし回数が非常に多いため。
  • サッカー・バスケットボール:急な方向転換(カッティング動作)が多いため。

鵞足炎を早く治すための対処法

痛みが出た場合、どのように対処すればよいのでしょうか。基本は保存療法(手術などをしない治療)を選択することになります。

急性期(痛みが強い時)

まずはRICE処置をおこなうことが重要です。

RICE処置について詳しい解説はこちらの記事でも詳しく解説しています。

  • Rest:安静、なるべく動かさないように務める。
  • Ice:冷却、患部を氷で冷やし痛みを緩和、炎症、内出血を抑える。
  • Compression:圧迫、圧迫により患部の出血を抑えることで、腫れを軽減させる。圧迫を行うと腫れ及び関節動揺による再受傷を最小限に抑えることに期待できるので、膝を動かすときの痛みを小さくできる。
  • Elevation:挙上、できるだけ膝を高い所に持ち上げる。こうすることで内出血を減らし、出血による組織内圧上昇で起こる痛みを緩和することができる。臥位で行うと挙げやすい。

Rest ICE Completion Elevationの
頭文字を取ってRICE処置という。

慢性期・回復期

炎症が治まってきたら、原因となっている「筋肉の硬さ」を取り除くことが重要です。

必須!鵞足炎対策ストレッチ3選

ここからは、実際に効果的なストレッチを紹介します。お風呂上がりなど、体が温まっている時に行うのがおすすめです。

1. ハムストリングスのストレッチ 鵞足炎の原因の多くは、ここが硬いことにあります。

  1. 椅子や低めの台に片足のかかとを乗せます。
  2. 背筋を伸ばしたまま、骨盤から前に倒すイメージで体を前屈させます。
  3. 太ももの裏が気持ちよく伸びるところで20〜30秒キープ。※つま先を上に向けるとより効果的です。

2. 薄筋(内もも)のストレッチ

  1. 床に座り、両足の裏を合わせてあぐらをかきます(合席のポーズ)。
  2. 両手で足先を持ち、肘で膝を下に押しながら、体を前に倒します。
  3. 内ももの付け根が伸びるのを感じて30秒キープ。

3. 縫工筋(太もも前〜内側)のストレッチ

  1. 立った状態で、片足の甲を後ろ手で持ちます。
  2. かかとをお尻に近づけます。
  3. この時、膝を真下ではなく、少し後ろへ引くようにすると縫工筋がよく伸びます。

再発させない!予防とトレーニング

痛みが引いても、同じフォームや環境で走れば再発します。「今までの生活で今の身体になった」と覚えておきましょう。キッカケになっている事象を取り除くことが必要になってきます。

シューズとインソールの見直し

「オーバープロネーション(過回内)」といって、着地時に足首が内側に倒れ込みすぎる人がいます。これは鵞足炎の大きな原因です。

  • ショップで足型測定を行い、プロネーション(足の倒れ込み)をサポートするシューズを選ぶ。
  • テーピングを貼付し足の倒れ込みを自体を防止する。

お尻の筋肉(中殿筋)を鍛える

膝が内側に入ってしまう(ニーイン)原因の一つは、お尻の横の筋肉「中殿筋」が弱く、骨盤を安定させられないことにあります。

  • ヒップアブダクション: 横向きに寝て、上側の足を天井に向かって上げ下げする運動を取り入れましょう。

テーピングの活用

練習を再開する際はテーピングを貼付し鵞足部への負担を減らす必要があります。ロイコテープなどを引っ張りながら鵞足部へ貼り、摩擦を減らします。

まとめと当院の方針

鵞足炎は、真面目にトレーニングに取り組む人ほど陥りやすい障害です。「これくらいなら大丈夫」と無理をせず、以下のポイントを意識してください。

  • 膝の内側下部が痛んだら鵞足炎を疑う。
  • X脚気味の人やハムストリングスが硬い人は要注意。
  • 痛い時はアイシングと安静。
  • お尻、太もも裏、内もものストレッチを習慣化する。
  • シューズを見直す。

当院ではヒヤリングを十分に行い練習頻度、練習内容、活動内容の把握に努めます。股関節を念入りに動かしハムストリングス、拮抗筋である大腿四頭筋の柔軟性を獲得します。鵞足部及びハムストリングスにテーピングを貼付し疼痛のコントロールを実施します。疼痛をコントロールしている間に原因になっている要素を特定し、改善を図っていきます。

「痛い!」「走れない!」という状況の方も多いと思います。積極的な改善方法を提供します。

東海市、知多市、大府市で鵞足炎にお悩みの方「ARK接骨院」へお任せください。

執筆者 柔道整復師 古田 幸大

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