【学生向け】起立性調節障害の症状解説

※この記事は約18分で読めます。

「朝、どうしても起きられない」 「立ちくらみがひどくて、朝礼で立っていられない」 「午後になると元気になるから、周りから『サボっている』と思われている気がする」

もしあなたがこんな悩みを抱えているなら、それは「起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)」という身体の病気かもしれません。人への伝え方が難しく一人で悩んでしまっている学生が多いのもこの症状です。

この記事では、ODの仕組みから、自分でできる対策、先生や親への伝え方まで、学生の皆さんが知りたい情報を網羅しました。

目次

起立性調節障害(OD)とはどんな病気?

起立性調節障害は、思春期(小学校高学年~高校生)に非常に多く見られる、自律神経の機能不全による身体疾患です。

決して「気合が足りない」わけでも「怠けている」わけでも「気持ちや気分の問題」でもありません。体が急激に成長する時期に、神経のバランス調整が追いつかなくなることで起こります。

こんな症状はありませんか?

まずは、自分の症状と見比べてみてください。

  • 朝、なかなか起きられない(目覚ましが聞こえない、体が鉛のように重い)。
  • 立ち上がると、めまいや立ちくらみがする。
  • 入浴時や嫌なことがあった時に気分が悪くなる。
  • 動悸(ドキドキ)や息切れがしやすい。
  • 午前中は調子が悪く、夕方から夜にかけて元気になる。
  • 食欲がない、または腹痛がある。
  • 乗り物酔いをしやすい。

これらに複数当てはまる場合、ODの可能性があります。

体の中で何が起きているの?

人間は立ち上がる時、重力によって血液が足の方へ下がろうとします。通常は「自律神経」が自動的に働き、足の血管をギュッと締めて、血液を心臓や脳に押し上げます。

しかし、ODの人はこの自律神経のスイッチ切り替えがうまく行きません。

  1. 立ち上がっても、足の血管が締まらない。
  2. 血液が下半身に溜まってしまう。
  3. 脳や心臓への血流が不足する。
  4. その結果、めまい、頭痛、倦怠感(だるさ)、朝起きられないといった症状が出現する。

つまり、「脳が酸欠・栄養不足状態になっている」のです。これで「気合で起きろ」というのは、ガソリンが入っていない車に「走れ」と言うのと同じくらい無理な話なのです。

2. なぜなるの?原因と「サボり」と誤解される理由

主な原因:体の急成長と自律神経のズレ

思春期は、骨や筋肉が急激に成長します。一方で、自律神経(体の機能をコントロールする神経)の発達はそれよりも少し遅れます。この成長のアンバランスが一番の要因です。

また、以下の要素も影響します。

  • 水分・塩分不足: 血液量が少ないと、血圧を維持しにくくなります。
  • 運動不足: 足の筋力が落ちると、血液をポンプのように押し上げる力が弱まります。
  • ストレス: 学校や家庭でのストレスは自律神経を乱します。

「午後から元気」が誤解を生む

ODの最大の特徴であり、辛いポイントは「日内変動(にちないへんどう)」があることです。

  • 午前中:自律神経(特に交感神経)がうまく働かず、絶不調。起きれず、立ち上がれず動けない。
  • 午後〜夜:自律神経がようやく活動モードになり、元気が出てくる。

このため、家庭では「朝は学校を休んだのに、夕方からスマホをいじったりテレビを見たりして元気そう」に見えてしまい、周りの大人、特に親や先生から「サボっている(仮病)」と疑われやすくなってしまうのです。

しかし、これは病気の特性であり、あなたが悪いわけではありません。

自分でできる対策(非薬物療法)

ODは、特効薬ですぐに治るものではありませんが、生活習慣の工夫で症状を軽くすることは可能です。これを「非薬物療法」と呼び、治療の基本となります。

水分と塩分をしっかりとる

血液の量を増やして、血圧を下がりにくくします。

  • 水分: 1日 1.5〜2リットル を目安に飲みましょう。一気に飲むのではなく、こまめに飲むのことが推奨される。
  • 塩分: 通常よりも多め(1日10〜12g程度)に摂ることが推奨され、スポーツドリンクや梅干しなどが有効とされている。

立ち上がる時の動作に気をつける

  • 急に立ち上がらず、30秒くらいかけてゆっくり立つ。
  • 立ち上がる前に、頭を下げたまま足をクロスさせたり、足踏みをしたりして血流を促す。
  • 長時間の立位は避け、辛くなったらすぐにしゃがむか横になる。

弾性ストッキング(着圧ソックス)を使う

足を締め付けることで、血液が下に溜まるのを物理的に防ぎます。医療用のものが効果的ですが、ドラッグストアで買える強めの着圧ソックスでも代用できる場合があります。

自律神経のリズムを整える

  • 昼夜逆転を防ぐ: 辛くても日中はカーテンを開けて日光を浴び、体内時計をリセットします。
  • スマホ・ゲーム: 夜遅くまでのブルーライトは自律神経を乱します。寝る1時間前は控えましょう。

学校生活をどう乗り切る?

学生のみなさんが頭を悩ませるのはやはり学校との兼ね合いだと思います。この項ではODと付き合いながら学校生活を送るためのポイントをまとめました。

先生への伝え方

担任の先生や養護教諭(保健室の先生)に、正しく理解してもらうことが重要です。口で説明するのが難しい場合は、以下のような資料を見せたり、医師の診断書を提出したりしましょう。

先生に伝えてほしいポイント

  • 「怠けている」のではなく、血圧調節がうまくいかない身体疾患であること。
  • 午前中の体調不良は自分の意志ではコントロールできないこと。
  • 「午後から元気になる」のは病気の典型的な症状であること。

配慮をお願いできること

無理をして悪化させないよう、以下のような配慮を相談してみましょう。

  • 朝礼や集会では、椅子を用意してもらうか、最初から座らせてもらう。
  • 体育の授業で見学を許可してもらう(特に長距離走や急な立ち上がりがある運動)。
  • 保健室利用の許可をもらいやすくする。
  • 午後からの登校や、別室登校を認めてもらう。

「学校に行けない」と焦らないで

ODの症状が重い時期は、無理に登校しようとするとストレスでさらに自律神経が乱れ、回復が遅れることがあります。「今は体を休める時期(充電期間)」と割り切る勇気も必要です。

通信制高校やフリースクールなど、体調に合わせて学べる場所はたくさんあります。進路の選択肢は一つではありません。

病院へ行くべき?何科を受診する?

「もしかして?」と思ったら、早めに医療機関を受診しましょう。早期発見・早期対策が回復への近道です。

  • 何科?: 基本的には「小児科」へ。高校生でも、まずは小児科で診てもらえることが多い。病院によっては「循環器内科」や起立性調節障害外来という専門外来ががある場合も。
  • 検査: 「新起立試験」という、寝ている時と立った時の血圧・脈拍の変化を測るテストを行います。痛みはありません。

症状が重い場合は、血圧を上げる薬(昇圧剤)などが処方されることもあります。

まとめと執筆者の私見

起立性調節障害(OD)は、軽症を含めると中学生・高校生の約10人に1人がいると言われる、決して珍しくない病気です。

この記事のポイントをまとめます。

  1. ODは身体の病気。 「甘え」や「サボり」ではない。
  2. 原因は成長期の自律神経の乱れ。 脳への血流不足が症状を引き起こす。
  3. 水・塩分・ゆっくり動く ことで対策ができる。
  4. 周りの理解が大切。 辛い時は先生や親にこの記事を見せて説明しよう。
  5. 焦らないこと。 成長とともに自然と良くなるケースがほとんどではある。

まずなぜ起立性調節障害の記事を書こうかと思ったのかというと、当院の専門はスポーツ選手のサポートです。当院にてサポートしている選手の中にも急に起立性調節障害を発症してしまい運動がしづらい状態になってしまった選手たちがいました。

その選手たちが起立性調節障害の症状を大人に話すと、理解してもらえず迫害ともとれるひどい扱いを受けることも多かったそうです。そんな状況が少しでも変わってほしいと思い勉強し、記事にしました。

そもそも起立性調節障害はスポーツとの相性が良くないのです。まだまだ根性論が先行するスポーツの現場では、最初に述べた「サボっている」「怠けている」という評価に繋がりやすいという理由です。それはとても悲しいことです。なりたくて起立性調節障害になる選手、学生はいないのです。学生向きに書きましたが真にこの記事を読むべきは親御さんや教員、運動指導者、コーチの皆さんなのかもしれません。理解をしてあげてください。症状のことを勉強してあげてください。周りの理解と協力が必ず起立性調節障害に悩む学生や選手たちの手助けになります。

起立性調節障害に悩む人へ、今は暗いトンネルの中にいるように感じるかもしれません、でも症状は必ず改善に向かいます。 焦らず、自分のペースで、自分にできることに取り込んでください。今日できる小さな対策から始めてみてください。そうすればまた、目標に向かって楽しい人生を送っていけるはずです。

この記事が何か改善のキッカケになりますように。

この記事は著作権ポリシーによらず、著作権フリーとします。

説明する際の参考に、ご自由にお使いください。

執筆者 柔道整復師 古田幸大

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