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「練習の翌朝、腰が重くて起き上がるのが辛い」 「プレー中に腰に違和感があり、全力で動けない」
スポーツに打ち込むアスリートや愛好家の方々にとって、腰痛はパフォーマンスを低下させる最大の敵の一つです。休めば治ると分かっていても、練習を休みたくない、レギュラー争いがある、試合が近いといった理由で、痛みを抱えながらプレーを続けている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、国家資格を持つ柔道整復師の視点から、スポーツ特有の腰痛が発生するメカニズムと、なぜマッサージなどのケアが有効なのか、そして自分で行うべきセルフケアとプロに任せるべき領域の違いについて、当院の考え方と専門的な知見を交えて詳しく解説します。
正しい知識とケアを取り入れ、長く、そして痛みなくスポーツを楽しめる身体を手に入れましょう。
単に「使いすぎ(オーバーユース)」と言われることも多いスポーツ腰痛ですが、その背景にはより複雑な身体の構造的な問題が隠れています。柔道整復師として多くの患者様を診てきた経験から言えるのは、腰痛の患部(腰そのもの)だけに原因があるケースは意外と少ないということです。
スポーツ選手の腰痛について詳しい解説はこちらの記事でも行っています。併せて読むと理解が深まります。
スポーツ動作は全身運動です。例えば野球の投球動作やゴルフのスイング、サッカーのキック動作を想像してください。これらは足首、膝、股関節、脊柱、肩甲骨、肩、肘、手首と、すべての関節が連動して初めてスムーズな動きとなります。これを専門用語で「運動連鎖」「キネティックチェーン」と呼びます。
もし、股関節の動きが悪かったらどうなるでしょうか?本来なら股関節が回旋して生み出すべきねじれの動きを、代わりに「腰椎(腰の骨)」が過剰にねじれて補おうとします。腰椎は構造上、回旋(ねじる動き)にはあまり強くありません。股関節の硬さを腰が「代償」することで、腰周辺の筋肉や靭帯、椎間板に過度なストレスがかかり、炎症や痛みを引き起こすのです。この「代償運動」を「トリックモーション」といいます。例えば肩が上がらない人に「肩を挙げてくだい」と言ったときに腰を反りながら腕を高く挙げようとする動作がトリックモーションです。

スポーツ選手で特に問題になりやすいのが、深層にある筋肉(インナーマッスル)のトラブルです。

近年注目されているのが「筋膜(ファシア)」です。筋肉は筋膜という薄い膜で覆われており、隣り合う筋肉同士はこの膜を介して滑るように動きます。しかし、激しい運動後の脱水や炎症、長時間の同一姿勢などにより、筋膜同士が「癒着」を起こすと、滑りが悪くなります。 皮膚をつまんで引っ張ったときに痛みがある場合、その下の皮下組織や筋膜が癒着している可能性が高く、これが腰の動きを制限し、痛みの原因となります。
当院ではこういった筋膜の癒着が見られる場合「整膚」を積極的に行います。整膚とは「押さずに皮膚をつまんで持ち上げる」手技です。組織を広げて血流・リンパ液の流れを促進し、筋肉を緩めます。揉み返しがなく安全性が高いため、急性期のリハビリやスポーツコンディショニングに最適なアプローチだと言えます。
「マッサージは気持ちいいだけ」と思っていませんか? 適切なスポーツマッサージは、生理学的にも明確な根拠(エビデンス)に基づいたリカバリー手段です。
筋肉が硬く収縮した状態が続くと、筋肉内の血管が圧迫され、血流が悪くなります。血液は酸素と栄養を運び、老廃物を回収する役割があるため、血流不全は「ガス欠」と「ゴミ屋敷」が同時に起きているような状態です。 この時、ブラジキニンやプロスタグランジンといった「発痛物質」が生成され、神経を刺激して痛みを起こします。 マッサージによる物理的な圧迫と解放(ポンピング作用)は、静脈還流を促進し、これらの発痛物質を体外へ流し出すポンプの役割を果たします。
痛みの信号は神経を通って脳に伝わりますが、この通り道には「ゲート(門)」があります。触覚や圧覚(触れられたり押されたりする感覚)を伝える神経線維(Aβ繊維)は、痛みを伝える神経線維(Aδ繊維やC繊維)よりも伝達速度が速いという特徴があります。 マッサージによって「心地よい圧」の信号を大量に送ると、脊髄にあるゲートが閉まり、痛みの信号が脳に届きにくくなるのです。これを「ゲートコントロール理論」といい、マッサージ直後に痛みが和らぐ主な理由の一つです。
スポーツ中は交感神経(興奮モード)が優位になっています。これが長時間続くと血管は収縮したままになり、回復が遅れます。ゆったりとしたリズムのマッサージは副交感神経(リラックスモード)を優位にし、全身の筋緊張を解くスイッチとなります。筋肉の微細な損傷を修復するには、このリラックス状態を作ることが不可欠です。
「自分でお風呂上がりにマッサージするのと、整骨院に行くのは何が違うの?」という質問をよく頂きます。決定的な違いは「原因へのアプローチ」と「刺激の深さ」です。
当院の施術者である柔道整復師は、ただ患部を揉むことはしません。施術の前に必ず「評価」を行います。
これらの徒手検査を行い、「筋肉の問題なのか」「関節の問題なのか」「ヘルニアなど神経の問題なのか」を鑑別します。特に、痺れを伴う場合や安静にしていても痛む場合は、単なる筋肉疲労ではない可能性が高いため、専門的な判断が必須となります。
表面の筋肉(僧帽筋や広背筋など)はセルフマッサージでも届きますが、腰痛の主犯格である「深層筋(多裂筋や腸腰筋など)」には、指の角度や圧の方向を熟知していないと届きません。 プロのスポーツマッサージでは、筋肉の走行、起始・停止(筋肉がついている骨の場所)を理解した上で、筋肉を「押す」「伸ばす」「緩める」といった多彩な手技を使い分けます。 また、トリガーポイント(痛みの引き金となる硬結)を的確に捉える技術は、長年の経験と指先の感覚が必要とされます。

プロの施術を受けることは重要ですが、毎日のケアの積み重ねが怪我の予防には不可欠です。ここでは、効果が高く安全なセルフケアを紹介します。
腰が痛いからといって腰そのものを強く押すのは、逆に炎症を広げるリスクがあり危険です。安全で効果的なのは「おしり」のマッサージです。
反り腰気味のアスリートに特におすすめです。

スポーツによる腰痛は、単なる疲労ではなく「使い方のエラー」や「ケア不足」の警告信号です。「痛いけど動けるから」と放置せず、早めに適切な対策を取ることが、選手生命を延ばす鍵となります。
当院では手技によるマッサージを行うことの他に、加圧下での機能訓練も並行して指導していきます。皮膚、筋膜の滑走が悪い場合は上の項で述べた「整膚」を行い柔軟性を獲得していきます。身体のおおよそ中心である腰が痛いとどのような運動を行う際もうまく集中出来ません。初期のうちにしっかりと対処に取り組みストレスのない練習環境を作っていきましょう。
東海市、大府市、知多市でスポーツをプレーしていて腰が痛くマッサージをご希望の方は「ARK接骨院」へお任せください。
執筆者 柔道整復師 古田 幸大
